セコニック「労働協約は失効」一方的に通達……不当労働行為申立へ(3)

上場企業であれば、大丈夫。

多くの人が、あらゆる意味でそう思っていますが、必ずしもそうではありません。

もちろん、会社は、働き手の労働条件を無制限に改善しなければならない訳ではありませんが、少なくとも、チカラで一方的に服従させるのではなく、丁寧な話し合いによって物事を進めていくことは、社会的存在としての最低限のルールといえます。

今日も、東京都労働委員会で救済命令(会社敗訴)を受けた「セコニック」(東証2部7758)が引き起こした、組合潰しの事件について見ていきましょう。

(迂回採用に利用されたと思しき関連会社の数々。引用元

 

前回の記事

https://burarepo.com/judgments/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%81%B4%E5%8B%9D%E8%A8%B4/%E6%9D%B1%E8%A8%BC%EF%BC%92%E9%83%A8%E3%80%8C%E3%82%BB%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%8D%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%97%E5%8D%94%E5%AE%9A/

https://burarepo.com/judgments/%E4%B8%8A%E5%A0%B4%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%80%8C%E3%82%BB%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%8D%E7%B5%84%E5%90%88%E6%BD%B0%E3%81%97%E3%81%A7%E6%95%91%E6%B8%88%E5%91%BD%E4%BB%A4/

 

「協議中なのに」……労働協約の失効通告、
一方的に掲載

部分合意をも拒否するセコニック(馬場芳彦社長)と組合の協議は不調に終わり、11月12日、セコニックは組合の反対を押し切って以下の文書を掲示。

お知らせ

当社(セコニック)は、本年7月末、X1組合(セコニック労働組合)に対し、2013年10月1日付の労働協約の一部改定の申し入れを行い、その後数回にわたり誠実に改定交渉を行って参りました。

しかし、改定案を合意するに至らず、本年10月31日をもって、同労働協約は期間満了に伴い終了となりました。

もっとも、当社としては、労使関係におけるパートナーであるX1組合との友好関係を維持していく意向であり、今後も同組合と誠実に協議を行って参ります。

なお、現在、X1組合への加入は任意となっておりますので、組合費の控除に関しご質問等がありましたら、X1組合、または人事総務課(B7)までお願いします。

ここにきて、セコニック労組はストライキ権を確立。そして、本案の不当労働行為救済申立(都労委平成27年不第108号)を提起します。

「組合の弱体化を狙った」
セコニックの組合潰しを労働委員会が事実認定

双方は、一連の経緯について、以下のように主張。

労使関係の変化

組合主張

組合は、結成以降、会社と良好な労使関係を維持してきたが、会社は、平成22年にTCSグループの傘下になって以降、組合との協定を無視した23年度冬季一時金の一方的な全額カット通知や、幹部候補研修対象者である組合員のチェックオフの一方的な停止など、組合の弱体化を狙った策を次々と打ち出してきた。

また、24年以降、会社は、従業員を新規採用する際、直接採用せず、C1会社など関連会社で採用の上、会社に出向させるという形をとってきた。これは、本件ユシ協定により、会社の従業員は全て組合員とされている一方、組合員は会社が採用した従業員に限るとされていることから、組合員拡大を阻止するためであった。一方、会社は、中途採用の管理職を採用する際は、直接雇用した。これは役割グレードM1、同S1以上の管理職は組合員とならないこととされているためであった。

会社主張

会社は、そもそも、組合の弱体化を意図した策を行ったことはない。
23年度の冬季一時金の支給見送り等は、当時の財務状況に基づくやむを得ないものであり、会社は、組合に対し、財務状況や営業利益の内訳等について十分に説明し、誠実に協議をすることで組合の理解・協力を得られるように努めていた。

C1会社等において新卒採用を行っている理由は、持株会社体制の下、経営資源である人員をグループ会社間で効率的かつ適正に配置し、厳しい経営環境の中、各グループ会社の存続を維持するためである。また、上場会社であるC1会社にて採用活動を行う方が応募者の質及び数の点で有利であるとの採用実務への配慮も必要である。これらは持株会社体制をとる企業において一般的な経営手法であり、組合の弱体化を狙った措置ではない。

馬場芳彦社長らによる罵倒・恫喝

組合主張

26年4月14日、B2会長は、組合三役を呼び出し、三役に対し人事異動や退職勧奨をほのめかし、三役を罵倒する発言を行い、発言中、何回も机をたたくなど三役に対する恫喝に及んだものであり、同人が組合を嫌悪する意思を有することは明らかである。

27年12月22日、TCSグループ傘下にあるC4会社は、C8組合に対し、ユニオン・ショップ協定の破棄、便宜供与の打切り等を申し入れ、同労働組合との話合いがつかないまま、労働協約の期間満了日である28年4月8日、「7月7日をもって労働協約を破棄する」旨を通知した。
このように、TCSグループは、労働協約を失効させるという、本件と全く同じ方法で労働組合の弱体化を図っている。

以上のことから、B2会長が関与するTCSグループが、労働組合に対する敵視の意図をもって、これらの労務政策を推進していることは明らかである。

会社主張

26年4月14日のB2会長の会見及び一連の発言は、23年度から25年度における会社の深刻な経営状況及び会社の中国子会社の危機的な経営状況を背景として、これらの状況を経営者として立て直すべく、労使が一丸となって各施策に取り組むことの重要性を組合三役に対して述べたものであって、組合や三役を侮辱、威圧し、組合を嫌悪する発言ではない。

また、会社において、労働協約の改定案を始めとする人事労務施策の決定は、代表取締役、人事・総務担当の取締役及び経理・財務担当の執行役員の合議で行われており、かかる人事労務施策をB2会長が決定したり、指示を出したりすることはない。

セコニックが不当な条件を付して
本件労働協約を失効させたこと

組合主張

会社は、本件労働協約の改定交渉において、本件ユシ協定を解約しオープン・ショップとしつつ組合員の範囲を制限する規定をそのまま残すという、組合が到底受け入れることのできない案に固執し、合意ができた部分だけでも労働協約を締結したいという組合の提案をも拒否し、本件労働協約全体を失効させた。

組合は、オープン・ショップ化については会社の提案を受け入れる方向で団体交渉を進め、その代わり、組合員資格を会社の従業員に限り、かつ、非組合員の範囲を定めた会社案第3条ただし書の削除を提案したが、会社は、この提案を拒否した。

会社案は、オープン・ショップ化により組合に不利益な変更が行われるのみで、その代償措置が全く講じられておらず、組合にとってみれば、到底応じられるものではなかった。

よって、組合が、やむを得ずオープン・ショップ化を受け入れると譲歩したにもかかわらず、会社が、組合員の範囲を制限する規定の維持という組合が到底応じられない条件を付して新たな労働協約を締結せず、本件労働協約を失効させたことは、組合の弱体化工作にほかならず、組合の運営に対する支配介入に当たる。

会社主張

会社は、本件労働協約の改定について、合理的な内容・理由を有する提案を行い、組合と真摯に協議を重ねてきた結果として、期間満了により本件労働協約が終了したのであるから、会社の交渉態度は支配介入の不当労働行為には当たらない。

会社は、利益代表者に該当する者が組合に加入してしまった場合には組合自身が労組法上の労働組合としての保護を受けられないことから、組合提案は合理的な提案とは思われないこと、組合員資格が認められない利益代表者の範囲について常に労使間の認識の不一致が生じるおそれがあり労使関係が不安定になることを懸念し、オープン・ショップ制へ移行した後も除外条項は必要と考えられることを、団体交渉において再三組合に説明した。

このような交渉状況において交渉決裂を言い渡したのは組合であり、会社が理不尽な要求を突き付けて交渉を打ち切ったという事実は全くない。

会社が部分協定に応じなかった理由は、部分的に合意を行うことになれば、合意書を締結する都度、弁護士の確認を要することとなり、その度に弁護士費用が発生することを懸念したことのみならず、全ての事項について終局的かつ明確な意思の合致に至った場合に、一括して合意書
を締結するのが妥当であると判断したためである。 (中略)

このように、会社は真摯に協議を継続し、かつ、労使関係の安定化にも最大限配慮していたにもかかわらず、組合が自己の提案内容に固執したために合意が成立せず、本件労働協約の有効期限が満了したものであって、会社が、組合弱体化を狙い、組合が到底応じられない条件を付する等して本件労働協約を故意に失効させたものではない。

都労委の判断示される

双方の主張が出そろったところ、東京都労働委員会は、公益委員による合議の末、判断を下します。次回記事で、見て参りましょう!

 

 

 

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