『恫喝会長』支配するTCSグループの評判(2)「買収後、会社を壊すだけ壊された」日本コンベヤ(NCホールディングス)の末路を追う

前回記事に引き続き、この特集では、机を叩きながら「馬鹿野郎!生産性を上げろ!」と発言するなどの恫喝、暴力的行動で知られた髙山允伯・元会長(故人)が作り上げ、支配していたTCSグループ(旧:東京コンピュータサービス)の実態を追っていきたい。

TCSグループは、子会社であるエヌ・ティ・ティ・システム開発株式会社など数十社を利用して秘密裡に株式を買い集め、ある程度買い占めを進めた段階でTCSグループによる併呑の意思を公然化し、有無を言わせず手中に収めるという手法を駆使して、いくつかの上場企業を傘下に収めてきた。

その魔の手に吞まれた企業として、セコニック(東証二部)、明治機械(東証二部)、テクノセブン(ジャスダック)、武藤工業(東証一部)、そして日本コンベヤ(現:NCホールディングス)(東証一部)などを挙げることができるが、ここでは、日本コンベヤ・NCホールディングスでの出来事に注目したい。

TCSグループによる買収、直後「ボーナスゼロ」

京都府職労(転載元:連合通信)が機関誌で報じたところによれば、日本コンベヤ(現:NCホールディングス)は、2014(平成26)年3月、TCSグループに買収され、その軍門に降った。

その後、間を置かず、恫喝行為で知られる髙山允伯会長が社に現れ、JAM傘下の日本コンベヤ労組のビラを「大声で誹謗中傷」。直後、ボーナスの「不支給」を宣言するも、労働基準監督署から是正勧告を受ける事態となって支給を余儀なくされ、一度は矛を収めたかに見えた。

 

ところが、そんなものでは済まされないのがTCSグループだ。

翌年には、ユニオン・ショップ協定(全社員を組合員とする協定)を含む労使合意を破棄し、ボーナスも「個別査定」を導入すると通告。案の定というべきか、「個別査定」の結果、組合の副委員長・書記長は、狙い澄ましたかのように最低評価となった。

これに対し、組合もストライキを組織し、社内に組合旗を掲揚するなど、徹底的に対抗。労働委員会への不当労働行為救済申立事件は、記事執筆時点でも大阪府労委に継続しており、全面的な争いが続いている。

切った張ったの紛争が続く日本コンベヤ(現:NCホールディングス)の現状を垣間見ることはできないものだろうか。『ぶられぽ.com』では、公開されている財務情報(有価証券報告書・四半期報告書)および各種転職サイトから、同社の現状を浮かび上がらせることを試みた。

「会社を壊すだけ壊された」「TCSグループに支配され賞与がなくなった」……日本コンベヤ・NCホールディングス、元従業員名乗る人物の叫び

まずは、転職サイト「就活会議」を見てみよう。元従業員を名乗る男性は、2015年頃、すなわちTCSグループの支配下に入った翌年の経験として、次のように語っている。

「TCSグループの支配が強まってから賞与はほぼなくなった……TCSグループの配下になってしまったことが本当に悔やまれる。
……製造業の実情を知らない人間が実物をろくに見ずに机上の空論を振りかざし、経営を語って名経営者だと自称していた……経営者は……待遇を下げて人件費を抑えることしかできないまま、会社を壊すだけ壊していった

当時は存命で、上記のように、日本コンベヤ(現:NCホールディングス)を訪問し、大声で「組合の

ビラを誹謗中傷」したこともあるという髙山会長だが、男性によると、「名経営者だと自称」していたという。延べ何百、ことによれば何千にもなろう従業員の犠牲の上に築かれた功績であるが、誇るところがあったのだろうか。

さておき、別の男性の投稿によれば、「TCSグループになってから労働組合と会社との間で反発が多くなった……ストライキによって、業務が立ち行かなくなるといった悪循環が起こっている……外部の見える場所に組合の旗が立つなど、訪れる顧客に対しても悪い印象を与えている」という。

1995年頃の回想として、女性が「市内の会社とちがって、人間関係がぎすぎすした所もなく、社内の人間関係もよかったです」と投稿しているのと比べて、天地の差である。

TCSグループ入り後3年で、ボーナスが3分1未満に!
決算書から読み取るNCホールディングス・日本コンベヤ)の現実

声だけでなく、数字にも目を向けよう。日本コンベヤは東証一部上場の企業であり、後身のNCホールディングスも上場を維持しているので、決算書はインターネット上で、容易に入手することができる。『ぶられぽ.com』では、賞与引当金と従業員数に注目して、TCSグループによる支配の前後の比較をこころみた。

日本コンベヤ・NCホールディングス
有価証券報告書を根拠とした連結賞与引当金・従業員数等の推移
  2011/3/31 2012/3/31 2013/3/31 2014/3/31 2015/3/31 2016/3/31 2017/3/31 2018/3/31
実数の部       ※3月、TCS
グループ
による買収
       
賞与引当金 ¥149,097 ¥134,701 ¥139,144 ¥154,454 ¥100,282 ¥80,599 ¥50,145 ¥49,932
                 
正社員数 244 231 240 265 263 271 279 289
ほかパートタイマー 49 51 60 160 154 145.5 137 126
            (※前後値から平均)    
人頭計算の部                
正社員一人あたり賞与引当金 ¥611,053 ¥583,121 ¥579,767 ¥582,845 ¥381,300 ¥297,413 ¥179,731 ¥172,775
(上記指数) 100 95 95 95 62 49 29 28



その結果、TCSグループによる搾取の爪痕が、みごとに浮かび上がった。

正社員数がぶきみな増加を続ける一方で、TCSグループの軍門に降った平成26(2014)年3月を境目として、平成23(2011)年当時を100%としたときの賞与引当金の水準、

すなわち、日本コンベヤ・NCホールディングスがその年に支払う予定のボーナスとして確保している資金の額が、TCSグループ入りの翌年には62%、3年後には29%と、3分の1以下の水準にまで下がっていたのだ。
それに飽き足らず、昨年の決算では平成23(2011)年比で28%と、じりじりと下げ続けている。

あたかも、すでに紹介した、「待遇を下げて人件費を抑えることしかできないまま、会社を壊すだけ壊していった」という、元従業員を名乗る人物の証言を裏付けるかのような結果となった。

買収直後には「ボーナスゼロ」を宣言して労基署の是正勧告を受けたTCSグループ・髙山会長だが、反省の色は全く見られない。組合との争議について続報はないものの、恐るべきスピードで「ブラック化」が進んでいるものと見られる。

次回記事では、TCSグループによる、ゲリラ的な上場企業買収の手口を追っていきたい。

 

グラフの著作権について

本記事におけるグラフは、当報道局が、公開されている有価証券報告書をもとに作成したものです。必要とされる方は、当報道局の許諾を得ることなく、自由に転載・加工・再配布をすることができます。ただし、出典情報として、当報道局を記載してください。

 

1 COMMENT

gilles

元日本コンベヤ社員です。
TCS傘下になるまでは本当に良い会社でした。
組合ビラを誹謗中傷した瞬間にも遭遇しました。
JAMも役に立たないし、あいつがもう1年早く死んで貰えれば、私も今の状況とは違っていたでしょう。
社員数の不気味な増加と言うのは、NCホールディングスから、日本コンベヤに出向と言う形をとっているからです。
これは、社内における非組合員の増加を意味しています。

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